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ゴムタイヤ業界 イラン戦争の影響(第二報)

イラン戦争の先行きが見えない。ゴム、タイヤ業界でのイラン戦争の影響はすでに3月3日にお伝えしましたが、その後具体的な影響がでてきています。

1)原油、ナフサ価格の高騰 3月9日の市場情報によると、ナフサ価格は4月後半受渡でUS$996/MT 先週末よりUS$190/MT高になり、6月前半受渡でもUS$923/MTです。このままですと4月後半のナフサは国産ナフサ価格に換算するとKL当り11万2千円を超します。ナフサ価格が10万円越えです。1-3月のナフサは62千円ぐらいだとすると、ナフサでKLで5万円高。EPDM価格に直すと¥130/㎏UPです。ブタジエンもすでに先週より中国、アジア相場が急に上がり始めています。合成ゴムの価格が7月からの価格が大幅に上がることを予想されます。SBRNBRも¥100/㎏以上上がってもおかしくありません。

2)ナフサが足りない。4月だけでなく、6月受渡価格も上がっているということは、4月以降日本に到着する輸入ナフサが足りない。供給が止まる可能性がある。それも3か月間は続くことを意味します。合成ゴム会社によって国産ナフサからの原材料(ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、エチレン、プロピレン)をたくさん使用している会社と、輸入ナフサ原料がメインである会社があります。輸入ナフサ原料がメインに使っている会社が原料ナフサが入手できず、合成ゴム生産が減産、最後には止まる可能性があります。大元が石油会社の場合でも、そこから輸入ナフサが供給されている場合もあります。

以下の図が、日本の各コンビナートの原材料の系統図です。石油化学工業協会のサイト https://www.jpca.or.jp/files/trends/kakusha.pdf にあります。これをベースに合成ゴム原料関係をマークしたのが以下の図です。これらのナフサクラッカー(ナフサを分解してブタジエンやエチレン、プロピレンを取り出す)は、その原料が上流の石油精製所からの場合もありますが、輸入されたナフサを使っている場合もあります。

以下の表が2025年ナフサが輸入された港名と数量です。この二つを組み合わせると、輸入ナフサが減ると、止まると、どのコンビナートが困るか、どの合成ゴム原料入手が難しくなる可能性があるか推測することができます。

こう見ると、千葉、鹿島、川崎、徳山、大分にあるエチレンセンターが輸入ナフサを比較的多く使っていることになります。輸入ナフサの供給が止まる可能性を考えると、その下流にある合成ゴム工場は、注意が必要だということになります。なおデンカのCRはナフサ原料ではありませんので、供給は問題ありませんね。すでに3月6日現在出光興産の徳山事業所が輸入ナフサ不足で今後エチレンの生産設備を止める可能性があるとユーザーに通知しているとの報道が日経新聞と化学工業日報にありました。そうすると当然ブタジエン供給も止まります。

現在合成ゴム各社はブタジエンの調達(輸入も含め)を懸命にやっています。ただし輸入ブタジエンは国産ブタジエンよりコストアップになる(輸送コストも考慮して)と言われています。コストよりとりあえずブタジエンを入手して、合成ゴム生産を続けることが最優先です。なお定期修理期間になれば、全体をとめていいことになります。

現在 合成ゴムは各社、合成ゴムとしての製品在庫があります。ただし5月以降の供給を考えると、在庫管理をする可能性があります。

ベテランの調達担当者であれば、次に何が起こるか容易に想像していると思います。

3)カーボンブラックの価格があがる カーボンブラックは会社によって違いますが、全体の半分ぐらいが輸入される石油系原料(エチレンボトム油、FCCボトム油)からできています。米国からの輸入が多いのですが、それを運ぶタンカーが足りなくなっています。アラビア湾でタンカーが動けず、世界的に不足し始めています。このタンカー輸送費用が高騰始めています。そのため世界のカーボンブラックメーカーが大幅値上げを発表し始めています。石炭系原料はそれ自体は上がっていませんが、これも輸入する場合はタンカー料金が上がってきています。

4)EUからも米国からもコンテナー船のスケジュールが狂い始めている。空コンテナーが不足してきている。中近東でコンテナー船が動けず、そのため、いろいろなコンテナー船の動きが、スケジュールが、詰まってきている。EUから東南アジア向けもすでに船運賃にサーチャージが発生して、中近東でなくても、船の遅れ、船運賃の上昇が始まっています。

5)天然ゴム価格が値上がり始めている。合成ゴムではないのですが、競争相手になる合成ゴムの不足、値上げをあると、天然ゴムの相場価格もつられて上がりはじめています。下のグラフは豊トラスティー証券のサイトからですが、国内RSS3の価格です。

 イラン戦争がはじまる前はRSS3の大口倉庫渡しの価格は¥350/kgぐらいだったのが¥380/kgぐらいに上がりました。ここ数日はそのあたりで前後しています。天然ゴム自体の供給は問題ありません。

早くイラン戦争の先行きが見えてくるといいのですが、問題はいつ終結するかです。これが3か月続くと、ゴム、タイヤ業界にも大きな影響がでそうです。