2025年1月に米国ではドナルド トランプ氏が大統領になりました。2月1日には早速メキシコ、カナダからの輸入品に25%、、中国からの輸入品には10%関税をかけるとの大統領令にサインしました。この追加関税が実施されることになりましたが、2月4日に、この課税の発効を1ヵ月延期すると発表されました。
ゴム業界ではこのトランプ大統領の、メキシコからの輸入関税課税の影響がどうでるでしょうか?
ゴム会社の幹部、経営陣といろいろと話してみましたが以下のような考え方が多いようです。
1)メキシコで生産したゴム製品(タイヤ、ゴム部品、ゴム製品)を、その消費地である米国に輸入すると、米国到着時に今までより25%コストが高くなってしまう。しかし米国で生産するよりは、まだコストが安い。25%課税であれば、まだメキシコでの生産を続ける。
2)米国からやっとメキシコに生産を移管したばかり、やっと安定生産できたばかり。それをまた米国に生産を再度移管せよ言われても、やる気がしない。生産ライン変更手続きが大変で、承認に半年はかかるであろう。さらに米国での人件費がこの数年大幅に上がり、いまさら米国での生産は大変コスト高になってします。
3)米国でゴム生産をせよと言われても、米国では、特にゴム産業では、人手不足で、生産する人が確保できない。特に生産工程で人手がかかるゴム部品の場合ではそのようになる。
4)トランプ大統領だって憲法規定によりあと4年間だけで5年目はないのではないか。嵐のすぎる4年間をじっと我慢して待てばいい。永遠に続くわけではない。

結局メキシコからの25%課税は、合成麻薬の流入や不法移民のメキシコから米国への流入が理由ですので、メキシコ政府が合成麻薬や不法移民の米国行きを取り締まれば、この課税は中止されるでしょうから、ここはメキシコ政府の出方を見ましょう。すぐにメキシコ生産を、また米国生産に戻すことはしない。まずは半年様子を見ましょう。ということになるでしょう。
中国から米国への輸入品に追加10%課税は問題がつづきそうですから、なかなか解決策がありません。しかし中国の日系ゴム工場、タイヤ工場では、米国への輸出はとっくに減らし、その生産をインドネシア、ベトナム、タイに移管しているように見えます。

メキシコ政府が今回の報復で米国からの輸入品に25%?課税すると、これは日系メキシコ工場には頭が痛い。メキシコで生産するゴム部品の内、EPDM,NBR,CR、カーボンブラック、プロセスオイルは、ほとんどが米国製です。米国以外の原料は、天然ゴム、SBR,BR、一部のカーボンブラックぐらい。よって原料に25%課税され、その製品に米国側で25%課税されたら、ダブルパンチです。メキシコ工場全体が保税工場にしたくなります。本当に米国からのゴム原材料に25%課税されるのであれば、同じゴム原材料を日本からメキシコに持ち込んだ方がよほど安くなる。
これらはずっと続くわけではありませんが、2025年はコスト高は必至です。日系自動車会社の皆さん、この追加課税コストが発生した場合には、この関税部分は、ぜひ自動車会社がすぐに負担してください。部品会社に負担させないでください。だいたい米国自動車会社もメキシコで生産している車種が多いのですが、競争条件は同じです。米国での自動車販売価格をその部分値上げするべきでしょう。
今後数か月の動きに目が離せません。