4月12日現在 ホルムズ海峡は開通できていません。11-12日の米国、イランの直接協議の結果をみると、この海峡通過が一番のキーになりますが、簡単には解決できないことがはっきり分かりました。これで中近東からのナフサは当分日本への輸入ができないこととなります。イランの方が交渉が優勢なように見えます。ホルムズ海峡を人質にとって交渉を続けています。
日本政府はナフサは4ヵ月分在庫があると言いますが、それは間違いです。ナフサは2ヵ月先ぐらいまでは調達保証ができていますが、その先の2ヵ月の在庫はありません。政府が言っているのはナフサをつかった製品在庫(主に樹脂)のことですが、ナフサからの製品のうち、液体ものさらに危険物ものは2ヵ月も在庫がありません。2-3週間分しか在庫がないでしょう。だから溶剤等が不足してきています。現在アメリカ、アルジェリア、その他からナフサ輸入を進めていますが、いままでの中近東からのナフサ輸入量までまだ確保できていません。
ゴム、タイヤ業界で見ると、合成ゴム、カーボンブラック、プロセスオイルよりも、溶剤(トルエン、キシレン、MEK, )の不足が一番問題になっています。2週間分までなんとか確保したがその先がまだ確保できていない。その状態がずっと続いています。まだゴム原材料の生産が完全に止まったとの情報はありませんが、数週間後には止まるかもしれないとの情報はいくつかあります。一部の可塑剤の供給も問題が発生しそうだとの声もあります。加硫接着剤も心配です。溶剤のアジアからの緊急輸入も始まっていますが、危険品、毒劇物、さらにトルエンは麻薬及び向精神薬取締法対象品であり、許可、届け出が必要です。
自動車生産が止まるという話はまだありませんが、塗料が心配ですね。樹脂(PP,PE,PC,PVC)はまだ在庫がありそうです。自動車部品の1つでも供給停止になると、自動車生産が止まります。樹脂は大手ユーザー向け、自動車生産用途向けに供給が優先されているので、小口、一般消費財向けは供給が保証されていません。自動車生産もナフサ不足があと3ヶ月つづくと、生産停止も十分あり得ます。
ナフサがある程度(従来の70%ぐらい?)は確保できているので、また四日市地区の石化コンビナートの定修後稼働再開も4月末に予定されているので、ゴム原材料の生産は、一般的には減量されていますが、停止されていません。よって合成ゴム供給も今の状態ですと、6月末までは大丈夫でしょう。ただ溶剤、一部の可塑剤、一部のゴム薬品、接着剤は供給停止があり得ます。キシレン、トルエン、ベンゼン、MEK,フェノールが原料の原料である場合が心配です。 米国では不足はありませんが、値上げがありますが(EPDMで0.25/㎏UP)天然ガスからの原料が多いので中近東ほどではありません。欧州は合成ゴムメーカーがフォースマジュールを宣言しました。インドはまだ供給がありますが値上げです。中国は原油が一部イランからきていますので、石化原料不足が始まりかつ値上げです。中国からの輸入ゴム原材料が値上げです。
問題は価格の大幅値上げです。全体的に、供給の問題より値上げの問題が現在重要視されてきています。合成ゴム関係(デンカのCR以外)は¥100~160/㎏の値上げ、5月1日から、 が始まりました。以下のブタジエン、ナフサの相場価格(今、1カ月以内の引き渡しで発注するといくらか?の価格)を見ると、今の為替レートを考えると、確かに¥130/㎏UPぐらいになります。ナフサ、ブタジエンも単価がおよそ倍、200%になりました。ブタジエン量が多い合成ゴムはもっとコストアップになっています。ナフサよりブタジエンの方が値上がり度合いが大きい。生産コストより、需給バランスが大変タイトになっているからです。

値上げの交渉は、ナフサリンクで従来価格を決めている先にも、「今回はサーチャージ制で、5月から値上がり分をお預かりしたい。原料価格が下がれば、ちゃんと合成ゴム価格も下げる」ということでしょう。確かにこれらの高いナフサ、ブタジエンの影響は8月からのナフサリンク価格に反映されますが、あまりにも原料価格が高騰しましたので、それまで待てない。待ったら大赤字になります。確かにそうです。しかしナフサリンク制を適用するとの約束があり、ここが議論になりますが、今回は、供給の方が優先されるでしょう。議論の余地があるとすれば、どの条件で価格がもとに戻すかでしょう。
これらの石化原料の値上げ分がどこまでタイヤ、ゴム部品の値上げになり、それを自動車業界が受け入れるかが問題になります。もちろんこの状態がいつまで続くかにもよります。 このナフサ、ブタジエン価格高騰は、少なくともあと3ヶ月間は続くと考えられます。2週間後にホルムズ海峡が開放されても、たとえ機雷が大規模に撒かれていないとしても、海上輸送が平常状態にもどるのにはあと3ヶ月はかかると言われています。確かにそうでしょう。機雷が大規模に撒かれれると6ヶ月はホルムズ海峡通過は無理でしょう。
自動車業界は部品の石化製品の値上げは今回は了解すべきでしょう。さもないと、供給が止まります。値上げはだめ、しかし供給せよは、今回は無理です。取適法の趣旨を考えても、自社仕様の部品を作らせている自動車業界は、このコスト分の値上げはその期間だけでも承諾しないといけません。
まずはいつホルムズ海峡が開放されるか? その間のコストアップ分は実際にはいくらか?それを元に戻す条件はなにか? それを注視しましょう。

