天然ゴムの製造工程
今回は、現場でしかなかなかお目にかかれない天然ゴム「CV60/50」「RSS3」「TSR20」の製造工程をご説明させて頂きます。
ご説明に当たっては、ベトナムのVRG JAPANの工場での製造工程を追ってみました。
まずは、そのVRG JAPANのご紹介をさせてください。
弊社、(株)加藤事務所は2014年にベトナム最大の天然ゴム会社で国営のベトナムラバーグループ(VRG)社50%と、日本側、加藤事務所とJTC社50%で「VRG JAPAN RUBBER EXPORT JSC」という合弁会社をベトナムに設立いたしました。
VRG JAPANはCV50、CV60と3L SVR5S(臭いの少ないグレード)の製造を得意としています。また、原料のトレースが出来き、きちんとした農園、工場で生産出来るため、SDGs対応グレードの製品を提供できるという大きな特長をも有しております。
ちなみに、VRG JAPANがあるベトナムは、タイ、インドネシアに次ぐ世界第三位の天然ゴム産出国だって知っていました? それでは早速、バーチャル工場見学で、天然ゴムの製造工程を見てみましょう。
CV60/50の作り方
※CVとは
Constant Viscosity の略で、原料のラテックスに恒粘度剤を入れ、ゴム粘度を調整したゴムの事です。 後ろの数字はそのムーニー値を表す数字で、数字が多いほど粘度が高くなります。
ゴムの木の幹表面を削り、ラテックスを採取します。
採取したラテックスはタンクローリーで工場へ出荷されます。
採取したラテックスを網を通してブレンドタンクに流します。
ぎ酸とヒドキシルアミン類をブレンドタンクの中に入れて、よく混ぜます。
ブレンドタンクから細長い槽に移して、半日間凝固させます。
(凝固に10~20時間かかります)
凝固した天然ゴムは何台ものロールで水分を抜きます。
ロールで水分を抜くと、写真の通り平たくなってゆきます。
ロール工程を終えた天然ゴムは粉砕機で細粒化され、細粒化された天然ゴムは1ベール分ずつに仕切られたアルミ製チェンバーに入れ、乾燥機に送られます。
乾燥機により、120~130℃で4時間程乾燥させます。
乾燥後の天然ゴム
乾燥された天然ゴムは、重量計測場所へ移動されます。
この計量器で契約重量(35kg又は33.3kg)になるよう計ります。
乾燥させた天然ゴムの塊をプレスします。
プレスされた天然ゴムはベルトコンベアで流れ、
ここでビニール包装されます。
工場によってはトレーシングを可能にする為に、ジェットプリンターでバーコードを印字します。
ビニール包装された天然ゴムは、この金属探知機を通り異物の確認を行います。
金属探知機を通過した天然ゴムは、体積を減らす為に鉄の重しをして、その後木箱へ移されます。
成形された天然ゴムは、写真の様な梱包形態で客先へ出荷されます。
(客先によって異なります)
RSS3の作り方
※RSSとは
ラテックスを半固形化後、ロール通しされシート状に成形され、その後、煙で燻して、乾燥、殺菌し、目視検査されたゴムの事です。
固形化は人が足で踏みつけたり、手動式のプレスロールを用いていましたが、現在は簡単なモーター仕掛けのプレス機を使っています。昔の洗濯機のロールしぼりの要領です。
シート上に付く模様が”ろっ骨”(英語でRib)の形から、RSS(=Ribbed Smoked Sheet)、スモークシートゴムと呼ばれています。
木からラテックスを採取します。
酸で固めてシート状にして脱水し、数日間天日干しします。
燻蒸室(くんじょうしつ)で4日間ほど燻製。(70~80℃×4日間)
それから目視でグレード分けし、ゴミ等の量によって、RSS1~RSS5に分類します。
その後、スモークシートは積み重ねられ、各種重量サイズ(基準は111.11kg)にプレス機で圧縮成形されます。
最後に外側に粉を塗り、くっつき防止を施します。
TSR20の作り方
※TSRとは
Technically Specified Rubberの略で、樹液カップの中で凝固した「カップランプ」やUSS(未燻煙シート)等を原料として、粉砕、洗浄後にブロック状に成型して品質検査された天然ゴムのことです。成分の検査結果によって格付けされ、「技術的格付けゴム」とも呼ばれています。
木からラテックスを取った後の屑(CUP LUMP)をかき集めます。大変臭いです。
砕いて、流れるプールで洗われて、中に入っている砂、泥を落とします。
水で洗われ少しづつは白くなり、何回も砕いては洗います。
更に砕いて大きな円形タンクにいれます。
何回もロールを通し水を搾り取ります。
加熱オーブンで数時間かけて乾燥させます。
オーブンから出ると濃いあめ色になり、これを35kgに計量し、油圧プレスでブロック状に成型します。
「TSR20」グレードは、
ベトナムの場合は「SVR20」となります。
タイでは「TSR20」。
インドネシアでは「SIR20」です。