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海上輸送が大混乱 スエズ運河開通後でも

スエズ運河が約1週間閉鎖され、毎日いつEVER GIVEN号が離礁するのか、運河がいつ開通するか心配でした。2021年3月30日にやっと運河が再開しましたが、これで混乱が終わったわけではありません。4月4日現在MarineTrafficeサイトで確認すると、運河の北側で92隻、南側で94隻 運河通過待ちしています。減ってきたとはいえ、まだまだ渋滞は解消されていません。

心配なのは、そもそもコンテナー海上輸送が予約スペースが満船で取れない、空コンテナ―がない、シンガポール、釜山を始めアジア地区の積み替え港の渋滞がひどいという状態が昨年末からあることに、このスエズ運河閉鎖1週間で、さらに、海上輸送の混乱、遅れがひどくなることです。コンテナー船の遅れ、抜港(予定した積み下ろしの港をスキップしていまう)、空コンテナーの地域的な偏りがひどくなると思います。最近では当社がEU、中近東、インドから日本の輸入するゴム材料は、ほとんど、直行便ではなく、シンガポール、ポートケラン(マレーシア)、香港、中国各地、釜山で積み替え、船の乗り換えをして日本のおもな港に到着します。今回のスエズ運河の停滞で、この1週間のEUからの船の遅れだけでなく、これらの積み替え地でのスケジュールが混乱し、また積み替え地での保管スペース、バースの混乱が予想されます。積み替え地での混乱を考えると、たぶん1週間の遅れでなく、このスエズの影響で今後日本到着ベースでは2週間は遅れると考えます。

 こうなると、日本での輸入品在庫がどんどん減ってきます。当社でもシベリア鉄道経由の輸送を検討したり、一部は航空便での輸送を始めました。何トンも航空便で運びます。そのコストアップ分は1月からの合計ですでに300万円になっています。ゴム薬品は、航空便IATA規定で危険物(海洋有害物)に指定されているものが多く、これだけで、航空運賃が約2倍になります。昨年より新型コロナの影響で航空運賃が通常の2倍以上になっていますから、本当に頭が痛い。しかしゴムの場合、配合材料の1つでも欠けるとゴムができませんので、何とか供給を守らなければなりません。

日本の大手船会社ONEのサイトをみると、日本からの輸出出港する船の4月下旬まで、アフリカ、南米方面は5月まで、すでに船腹の予約がいっぱいです。

北米では、アジアから輸入される日本製合成ゴム、天然ゴム(特にRSS)、中国製ゴム薬品が到着が遅れ、品切れが起こっています。北米で販売されているゴム加硫促進剤、老化防止剤はほとんど中国製です。寒波もあり、輸入遅れがあり、天然ゴムをホットルームにいれて温めて使う余裕がない、硬いままミキサーに入れて、今度はミキサーの故障、練り不足が心配。2月にテキサス寒波で米国製合成ゴム、カーボンブラック、プロセスオイルの生産が停止して、フォースマジュールも発生しているのに、今度は輸入品の遅れです。EPDMは1~4月の間に¥50/kg以上の値上がりです。タイト感を背景に北米ではなんでも大幅な値上げになっています。

写真は2月の東京港でコンテナーを積み下ろしをしているEVER BOOMY号です。今回スエズ運河で座礁したEVER GIVEN号はこの船の5倍以上大きいのです。

この海上輸送の混乱は、おそらく秋まで続くでしょう。(年内ずっと続くかも)

東京 青海ふ頭でEVER BOOMY号コンテナー積み降ろし中 2021年2月25日