大変なことになった。3M製のフッ素ゴム(商品名 DYNEON)が2025年末までに製造中止になるという。
2022年12月21日にこの関連情報が世界を駆け巡った。日経新聞ではhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20DXH0Q2A221C2000000/ で掲載。PFASを製造停止するニュースであったが、PFASはフッ素ゴム製造時の乳化剤(界面活性剤)で、これがなくなるとフッ素ゴム、フッ素樹脂の製造は大丈夫かとの懸念があった。12月22日になって添付のリストがスリーエムから正式にリリースされたという。3Ⅿ製フッ素ゴム全部が影響を受ける、つまりフッ素ゴム、さらにフッ素樹脂、コンパウンド全部が2025年までに製造できなくなるという。
加藤事務所では今年後半の日本ゴム協会、日本ゴム精練工業会での講演でフッ素ゴムの供給は今後PFAS問題が懸念点になり、注目すべきと警告をだしていた。
フッ素ゴムの世界のメーカーは、SOLVEY,CHEMOURS,ダイキン,3M,AGC,上海Huayi3F,Dongyue東岳、GujaratFlourochemicals,Halopolymerと 9社ある(生産能力順に列挙)が、世界の生産能力の合計は年約3万トンぐらい、このうち3Ⅿ製フッ素ゴムの生産能力は16%(数値はすべて加藤事務所の推定値)となる。日本でよく使用されているフッ素ゴムはこのうち初めの4社だけ(AGC品は化学的に同等品ではないとして)で、この中だけでみると3Mのシェアーは20%となる。(フッ素ゴム製造会社は生産量、能力は一切公表していないので、これらの数値はすべて加藤事務所の推測値です。)
現在フッ素ゴムは世界中で不足しており、供給が需要を満たしていない。そのなかで2025年末、3年後とはいえ、さらに20%分の供給がなくなる。フッ素ゴムの用途は自動車部品が多く、その切り替えグレードの選定、試作、承認に1年以上かかるであろう。よって3年後と待ってはいられない。代替品での争奪戦がはじまりそうな予感がする。