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世界一大きな展示会、K2019 へいざ参戦!

みなさま初めまして!弊社ゴム情報サイト「ラバーステーション」のリニューアルに伴い、体験レポートを掲載させて頂く事になりました加藤事務所 営業課長 K です。勤続 10 年と業界人の皆様からみればまだまだ若輩者ですが、自分が直接「見て」「聞いて」「感じた」事を、レポートできたらと考えております。今後不定期に情報発信していきたいと思いますのでよろしくお願いします!

さて、第 1 回目のレポートは…

世界一大きなプラスチック・ゴムの展示会「K2019」へ出撃!

「でっ!・・デカイ・・・」

今まで訪問した展示会と規模感が全く違っていました。会場敷地面積の大きさにも度肝を抜かれましたが、繁華街や駅にも「K2019」の横断幕が至る所にあり、その規模感の違いを見せつけられました。

「駅や繁華街にポスターや横断幕が・・・」

今年はアジアで一番大きな展示会 India rubber Expo2019(ゴムに特化した中国を除い たアジア最大の展示会)、Chinaplas2019(樹脂、ゴムのアジア最大の展示会)にも訪問してきましたが、K2019 の横断幕やポスターがデュッセルドルフの駅や繁華街でも沢山目につき、規模感でいうと圧倒的でした。展示会訪問後、関係者はこの繁華街に集まり、夜な夜 な宴を開いているのです。

「K show とは」

3 年に 1 度ドイツのデュッセルドルフで開かれる、樹脂、ゴム業界にとって世界で一番大 きな展示会である「K show」は 67 年の歴史があり、とりわけ欧州からの出展社が多いことで知られています。中でもドイツ、イタリア、オーストリア、スイス、フランス、トルコ からが特に多く、その他アメリカ、アジア(特に日本、中国、台湾、インド)の出展社がその存在感を見せつけていました。
日本からの出展社は 32 社で前回に比べて2 社増加。一方で中国からの出展社は340 社 で 61 社減となっており、こんなところにも中国経済の減速が表れた形となっていました。

《K2019 の基本情報》
会期:2019 年 10 月 16 日~10 月 23 日
開催地:デュッセルドルフ(ドイツ)
展示企業数:3,333 社
来訪人数:225,000 人(165 ヵ国から)
展示面積:174,000m²
展示館:18 棟

「今年のテーマ」

K2019 のテーマとしては、持続的な開発と循環型経済、インダストリー4.0 による付加価値のデジタル化等を挙げており、原材料やリサイクル、再生産、再利用等を意識した情報 発信、機械のデジタル化、コンピューター化を実現させた機械メーカーの機械展示が多くみ られました。

「とりわけ目立っていた三菱ケミカルの展示」

会場でひと際目を引いたのが三菱ケミカルの展示棟。会場ブースではなくパビリオンを建て、持続可能な循環経済に適合した「KAITEKI 経営」を展示していました。日本からも沢山のス タッフが来ており、夕方になると太鼓のパフォーマンスを来場者に披露していました。

「中国材料メーカーの話(環境問題と米中貿易戦争の影響)」

K show で楽しみにしていた事の一つとして、中国の現状況について直接モニタリングし てみたかったこと。残念ながらゴム材料関係のメーカーは来ていませんでしたが、HOSHIN 社(シリコンゴム、オイル)、DIAMOND CARBON 社(樹脂向け CB)と話をすることがで きました。
両社共に、環境対策への負担が重くのしかかっており、次々に政府から打ち出される環境政策に頭を悩まされている様でした。日本でも周知の通り、各工場の排気口にモニターと計器が取り付けられ、一定水準を超えると警報が鳴り、役人が飛んできて分析をし、数値が一 定以下にならないと操業をさせてもらえない様です。
米中貿易戦争による影響をシリコンメーカーの HOSHIN 社に聞くと、直近 2~3 年は需要が急増して生産が追い付かなくなったが、その増えた分が全部なくなったくらいの影響との事。これから更に貿易戦争が過熱して状況が悪くならない限り、状況はそんなに深刻ではないとの話でした。

「K show が他の展示会と違う所って何?」

他展示会との違いを聞かれた場合、まず「大型の量産機が沢山ある!」という答えが浮かび ます。写真はフィルムを作る設備ですが、こういった設備を置いているメーカーが 10 社以 上あり、会場内で実際にモノを作っているのです!その姿は圧巻!業界違うとなかなかこう いった世界は見られないですよね。

「流行り?ミキシングロールの自動化」

圧倒的に樹脂関係が多い中、ゴム関係のブースがあれば常に飛び込んで話をしてきました。日本ではあまり知られていない精練設備を作っているメーカーがイタリアに数社ありましたが、ミキシングロールの自動化と安全の為、下記の様な自動ミキシングの機能を持たせたロールの展示が多くありました。自動ミキシングさせるためのこの機構が、上についていたり下についていたり、各社それぞれでしたが、ゴム寄せが動く事で同様の機能を持たせる設備を作っているメーカーもありました。

「弊社取引先の台湾メーカーの出展」
JINGDAY 社

ゴム用射出成型機、真空プレス成形機、液状シリコン成形機等、各種ゴム用のプレス機を 取り揃えています。
毎回 K show に出店していますが、今年は 300t の真空プレスを展示していました。
前回は 65t の射出成形機(FIFO 型)と真空プレス成形機を展示していましたが、展示会初日の午前中に売れてしまったそうです。これも K show の醍醐味ですね(笑)
メーカーも機械を持って帰るコストと手間があるので、安くしてでも売ってしまいたいそうです。

TEN SHEEG 社

ウレタン発泡や PE 発泡したゴムシートをスライス、切断、ラミネーション、エンボス加工等をする機械を作っているメーカーです。台湾の顔料メーカーの ChengFeng 社と合同ブースで出店していました。機械は置かず、パネルとカタログ展示のみでしたが、K show といえどこれだけの展示だと出展費用は 100 万円以下で抑えられるそうです!

「現地のグルメ、しかし…こんなにソーセージばかりとは…」

美味しい!確かに美味しいっ!だけど、、、食にはどちらかというと無頓着な小職でも、しばらくホットドックは遠慮したくなるほどホットドックばかりでした。展示会場のレストラン、駅の売店、日本でいう屋台等も、ほとんどがホットドック屋。

最終日に台湾メーカーとドイツ料理のシュバイネハクセ(豚の足をローストしたもの)を食べに行き、やっとホットドックから解放。

肉ばかりの生活のせいか、今まで感じたことがないくらいサラダが食べたくなり、スーパ ーで大量のサラダを買ってから部屋に戻っていました。

「まとめ/初めて K show に行ってみて…」

K2019 では、テーマに沿った環境に配慮した材料、コンピューター化、デジタル化した自動運転できる生産機の展示が特に目につきました。生産年齢人口の減少による労働者不足や人件費の高騰により、自動運転できる生産機の需要は世界中どこでも同じようにある様です。
興味深かったのは、「最新技術を搭載した機械は、中国人がバンバン買っていく」という事。各社に販売実績を聞くと、ほぼ全社でこの答えが返ってきました。莫大な国内需要を抱える中で、生産効率を高める事が必須であり、近い将来向かえるであろう中国の超少子高齢化による労働力の減少等を考えると、設備への投資は待ったなしの状況です。
また「中国人は展示会で機械を買う」という話も色々な所で聞きました。場合によっては即決して購入していくケースもあるそうです。

世界中から人が集まる K show。この場所に身を置くと世界の潮流を肌で感じることができます。次回は 2022 年 10 月。今度は、プラスチック・ゴム産業のどのような変革を感じることができるのでしょうか。
是非、皆様も視察をご検討下さい!!!