「関税爆弾」直撃!
米トランプ政策に世界メーカーが右往左往──トヨタ、日産、フォードの苦渋の決断
4月4日──米フォード、緊急値下げ
アメリカ自動車界の象徴、フォードが突如発表したのは、数千ドル単位の値下げだった。
背景には、関税引き上げによる販売鈍化の懸念がある。
「高関税で車が売れないなら、利益を削ってでも捌くしかない」──米国メーカーの悲痛な声が漏れる。
4月5日──トヨタ、関税分を“泣き負け”負担
日本の雄・トヨタも動いた。米国ケンタッキー州、インディアナ州の工場で、2024年に全体の13%にあたる127万台を生産。関税分はメーカー側が負担し、値上げによる販売減を避ける“身銭切り”戦術に出た。一方、欧州ステランティスは米国内5工場の人員削減を発表。米市場からの撤退シナリオまでささやかれ始めた。
4月6日──日産、日本国内減産へ
日産が決断したのは、米国向けの生産を一部アメリカへ移管する苦肉の策だった。
2024年の米国販売は約92万台。そのうち15万台(16%)を日本から輸出してきたが、高関税で利益が吹き飛ぶ。国内生産は既に100万台を下回り、66万台まで減少。サプライチェーン維持の“最低ライン”を割り込み、中小部品メーカーの経営危機も現実味を帯びてきた。
トランプ関税ショック第2幕 ― 世界メーカーの防衛戦争
4月7日 ジャガー、米市場に“門”を閉ざす
英国の高級車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)が米向け輸出を一時停止。世界販売の4分の1を占めるドル箱市場を手放すという異例の決断に、英国内は騒然とした。
同日、トヨタは“逆襲プラン”を発表。2027年までにEV15車種投入、生産拠点も日本・中国から5か国体制に拡大。為替リスク回避と納期短縮を狙った布陣転換で、静かに戦闘態勢を整える。
4月8日 「国産300万台」が揺らぐ日
米国販売233万台のうち53万台を日本から輸出するトヨタ。これは国内生産312万台の17%にあたる。高関税が続けば、この数字が崩れ、国内雇用にも直撃する。
4月9日〜13日 欧州勢と三菱自も撤退戦へ
VW傘下アウディは米向け輸出を停止。テスラも米国製モデルS・Xの中国向け新規受注をストップ。三菱自は米向け完成車出荷を停止、「在庫は潤沢」という苦笑いが、逆に深刻さを物語る。
4月16〜19日 北米シフト加速
ホンダは米国生産比率7割を誇るが、残り50万台の輸入車(主にカナダ・メキシコ製)も生産移管を検討。シビックHVは日本・寄居工場から米インディアナへ移す計画。
一方、マツダは米アラバマ工場のカナダ向け生産を一時停止。ステランティスは北米工場の操業休止と900人の一時解雇を発表。関税の余波はサプライチェーン全体に広がった。
5月2日 世界生産155万台“蒸発”
米国市場という震源地から、世界生産は前年比2%減の8,791万台へ。これは日本の対米輸出1年分に匹敵する規模。アウディ、JLRに続き、ボルボは米3工場で800人削減。マツダは日本で500人の希望退職を募る。業界全体が「米離れ」モードに傾く。
5月4日〜14日 部品戦争勃発
米は部品にも25%追加関税。ただし2年間は“軽減処置”で様子を見るが、輸入比率が高いメーカーほど致命傷に近い。日産は59%、SUBARU51%、トヨタ47%。米フォードも60%、メルセデスは驚異の90%。この間、SUBARU、三菱自が相次いで米値上げを発表。ニッパツは100億円減益予想を公表。
6月〜7月 値上げドミノ
6月25日、マツダが米値上げ検討入り。 7月3日には日本車4社(トヨタ、三菱、SUBARU、マツダ)が関税コスト限界を理由に値上げ表明。日産とホンダは粘るが、時間の問題との見方が濃厚。
そして7月23日、米国との交渉で関税は一旦15%に落ち着くも、トランプ大統領は「四半期ごとに精査、不満あれば25%に戻す」と釘を刺した。業界の安堵は一瞬でかき消えた。