2021年5月11日はいろいろなニュースがありました。朝には酸化亜鉛メーカーの堺化学工業湯本工場で亜鉛末工場で爆発があり、生産ラインが壊れたようです。事故時の動画を見ると加熱した亜鉛が昇華してガス状になり、それが空気に触れて酸化亜鉛微粒子になる工程で、それが外気で急激に反応してキノコ雲になったのだと思われます。昔ポーランドの酸化亜鉛工場でこの工程が外に漏れたら大爆発すると言われたのを思い出します。怪我人が少なかったのは不幸中の幸い。ゴム用酸化亜鉛の製造ラインは、無事だったようです。ゴム用酸化亜鉛は三井金属、東邦亜鉛、正同化学、ハクスイテック、本庄ケミカル等が生産しています。
夕方には、昨年末から噂がでていた、JSRが合成ゴム部門を石油最大手のENEOSに2022年4月までに譲渡売却する発表、ENEOSが買収するとの発表がでました。JSRのサイト経由 https://ssl4.eir-parts.net/doc/4185/tdnet/1964493/00.pdf に発表内容があります。エラストミックスも JSRトレーディングも一緒に売却です。譲渡価格は1150億円をベースに調整されるという。
この話はこのラバーステーションのニュースでもとりあげていましたが、当社は、業界での講演会、勉強会では 2月には韓国LOTTE CHEMICALが買う交渉をしている、その後ENEOSOが手を挙げた。但しまだ価格が折り合わない。JSRは売却価格UPを狙っていろいろやっている。加藤事務所の予想では1100億円ぐらいが折り合いがつく着地点ではないかと業界の方々に話していましたが、予想より50億円高かった。という結果になりました。たしかLanxessが合成ゴム部門をAramcoに売った時は1600億円だったはず。JSRの件では当社にも大手コンサルティング会社経由、買収を検討している会社に、合成ゴム事業の収益UPにはどうしたらできるかとのインタービューを受けて、いろいろとその方策をお話ししました。もちろん当時はどの会社のことかは開示されていませんが、すぐにピンときました。
JSRの合成ゴム事業を考えると、今の状態より、ENEOS傘下にはいったほうがよいのではないでしょうか?これで投資、開発、集中と前に進めることができるでしょう。 当社はENEOS社の機能材カンパニー(合成ゴム、エラストマー、原料を含む事業部)との10年ほど前から合成ゴム市場についていろいろと毎年情報交換をさせていただいております。また機能材カンパニーの研究所にはゴム試験加工機械納入、試験用ゴム原材料で取引をさせていただいております。同社の方々のゴムエラストマー市場への熱意はよくわかります。ただ石油業界とゴムエラストマー業界とでは、ちょっと商習慣の違い、ロットサイズが異なります。その点の橋渡しで今後お役に立ちたいと存じます。
ENEOSはブタジエンがらみでこの次の手を考えているのでは? JSRは社名がJSになるのでしょうか?この1年間は日本合成ゴムという会社名が復活します。クリーム色に上側が青い2色の社有車が懐かしいですね。私が免許を取って初めて乗った車もこの色でした。 この件、今後に期待しましょう。