マーケット加藤’s EYE

天然ゴム価格の行方、米国のアジア製タイヤのアンチダンピング課税

本年もよろしくお願いいたします。天然ゴムの価格がなかなか下がりません。現在は小口で買えば¥290/kgから¥300/kgぐらいします。まもなく天然ゴム生産が減るウイタリング期間に入ります。4月までは、供給が減りますから特にRSS3は価格が下がりにくくなります。5月のウイタリング明け以降の価格はどうなるか?供給が増える。ワクチン接種が普及して経済が回復に向かう。中国のタイヤ産業が好調らしい。これらのバランスで価格が決まるでしょう。一般的にいえば、春以降は、価格はちょっと下がるはず。ブタジエン価格もさすがに下がり始めました。これは予想通りです。ただスチレン価格が高い。2月からの合成ゴム価格(SBR,BR,NBR)は、10月以降のブタジエン価格の高騰の影響で、たぶん¥25/kgから¥30/kg程度上昇するでしょう。またここにきて原油、ナフサ価格も上がり気味です。この影響は5月からのEPDM価格¥10/kgUPぐらいになるでしょう。

12月30日に米国政府がタイ、ベトナム、韓国、台湾製タイヤ(乗用車、小型トラックタイヤ)の輸入アンチダンピング課税を予備的発動しました。アンチダンピング税は、

韓国製タイヤ: 韓国タイヤ 38.07%、 Nexen Tire 14.14%、その他27.81%

台湾製タイヤ: 正新タイヤ 52.42%、Nankang 98.44%、

タイ製タイヤ: Linglong(中国系) 22.21%、住友ゴム 13.25%、その他 16.66%

ベトナム製タイヤ: 22.3% 、ただしSailun(中国系)、 Kenda (台湾系)、ブリヂストン、クムホタイヤ、横浜ゴムを除く

 本来は、中国系タイヤメーカーがタイ、ベトナムに移転して、安く米国に輸出することをボイコットしようとしたはずですが、他のタイヤメーカーがとばっちりを受けたようにも見えます。本当に韓国タイヤ、正新タイヤ、NANGKANGは、そんなに米国に安くタイヤを輸出していたのでしょうか?疑問です。これは米国タイヤ、鉄鋼労働組合の申し立てによるものですが、米国に現地工場を作らないとこうなるぞと脅しにも見えます。米国のタイヤメーカーがアジア(天然ゴム生産地)でタイヤを作り、米国に輸入すればいいのでしょうが、これでは米国タイヤメーカーの努力が足りないとも見えます。