2020年6月22日に合成ゴムメーカー大手のJSR㈱が合成ゴムの値上げ、¥20/kg以上、7月1日より を発表しました。JSRのホームページにも発表されています。
値上げの理由は 設備の老朽化対策、環境対策、耐震対策、労働安全対策のための費用のためとのこと。https://www.jsr.co.jp/news/assets/pdf/da21c630ac96a7b85f198b62b29fc686_1.pdf 。
私の手元にある資料(たぶん小口ユーザー向けのもの)には、NBR¥30/kgUP, EPDM¥20/kgUP, E-SBR¥9/kgUP, S-SBR¥19/kgUP, BR¥9/kgUPと書かれています。
合成ゴムメーカーが ブタジエン、ナフサ等の合成ゴム原料や、輸送費の値上がりの理由以外で値上げをお願いするケースはなかなかありませんでした。
いろいろなご意見があると思います。まず他の合成ゴムメーカーが面食らっているでしょう。8月(一部は7月)から、4-6月の国産ナフサ、アジアブタジエンの価格が大幅下落を受けて、合成ゴムのフォーミュラー価格が大幅に下がることになっているのでしょうから、先手を打って、この値上げを打ち出したか?値上げ幅を半分に抑える? またこれはJSR社の独自の社内事情ではないかとの声もあります。米国ではこの種の理由によるゴム材料の値上げは結構頻繁にあります。JSRも米国風になったか?
数量でいえば、タイヤメーカーが大きく、次は大手自動車ゴム部品メーカー向け、NOKとか、TG,KG,西川向け、さらに住友理工、フコク、ベルト3社、ホースメーカー、が沢山合成ゴムを使用しています。買う方もこの値上げをどう取扱いしたらいいのか。。。 また設備老朽化であれば、合成ゴムの種類に対して、小口向けとはいえ、品種により値上げ幅が違う点もどう説明させるのか? ちょっとこの品種と値上げ幅を見ると、業界人としていろいろなことを考えてしまいます。
ある意味、合成ゴムのフォーミュラー制が広まって、約10年間、その間の無理な点、矛盾点が今回表にでてきたとも言えましょう。JSRの言うこともわからないでもありませんが、8月の自動値下げの時期、ここしか交渉する時期がないということでしょうか?
がんばってもらいたいものです(売り手、買い手、どちらが?)