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天然ゴム EUDR規制の実施がほぼ決まる

2025年10月21日 ヨーロッパのEU委員会はEUDRの実施について、以下のとおり決定し、EUの理事会と議会に正式に提案することを決定したと発表がありました。これから理事会と議会で審議され、たぶん承認されるでしょう。内容は https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_25_2464 にリンクされていますが、天然ゴム、タイヤ、ゴム部品関係でまとめると、

EUに初めて輸入する大規模会社(タイヤ会社、自動車メーカー、ゴム部品会社)は、2025年12月末からEUDR規制が実施される。しかし初めの6か月は、段階的に実施される。輸入時の書類(ファイル)をチェックするITソフトウェアにまだ問題あり、また能力不足が懸念されるので、段階的、すこしづつ実施する。

EUに輸入してから、EUで流通するが、輸入から先のサプライチェーンの下流の業者はEUDR製品、天然ゴム製品の売買について、EUDR規制の書類を提出必要はない。 つまりEUに輸入する大会社だけが、EUDR合格のエビデンスを提出する必要がある。 また 小規模事業者(どこまで小規模事業者になるかまだ規定されていないが、例えば農民)がホワイト国(ほとんどの天然ゴム生産国はホワイト国)から輸入する場合は、EUDR合格のエビデンス提出は不要。

ゴム産業で考えると、EUにあるタイヤ会社、自動車メーカー、ゴム部品メーカーが天然ゴムや、天然ゴムを使用した製品(タイヤ、ゴム部品、基本HSコードが40番台)を輸入する場合は、やはり26年1月以降はEUDR合格品であるエビデンスのファイルを輸入時に提出する必要がある。ただし26年6月までに段階的に実施される(具体的にどう段階的に実施かは不明)。輸入時に一回提出すれば、天然ゴムの同じ生産地区、生産工場であれば、2回目輸入時からは手続きが簡略化できる

9月にEUDR規制がさらに1年延期とのニュースもありましたが、EUに輸入する大会社に対しては延期せず(ただし初めの6か月は段階的に実施)、26年初めからは実施する。小規模会社は、やらなくていい。ということでほぼ決まりとなりそうです。

すでに日本の大手タイヤ会社、大手ゴム部品メーカーは、25年中ごろから天然ゴムはEUDR合格品を購入しています。生産するタイヤ、ゴム部品(天然ゴムを使用しているゴム製品でEU輸入時にHSコードが40番台である部品、よって合成ゴムだけであれば、対象外)がEUに輸入される可能性があるので、日本向けの天然ゴムでも一部はEUDR品を購入始めています。このEUDR合格品は、通常の天然ゴムより高いプレミアム価格になっています。