この前はENESOがJSRの合成ゴム部門を1150億円前後で買収との発表があったが、今後はドイツ(米国)のS-SBR、E-SBRメーカー大手のTrinseoがドイツの合成ゴム部門(能力SSBR年20万トン、ESBR年13万トン)をポーランドのSyntos社に約490億円程度で売却という発表が5月21日にあった。
Trinseoの合成ゴムは、SSBRは昔のDowのSSBR工場のことで、JSRの欧州での年3万トン製造委託先でドイツのSchkopau工場だ。またE-SBRでは昔のBayerのブランドBUNA1500を製造している。BUNAとはドイツIG(Bayerの源流)がブタジエンをナトリウム触媒で重合したからBU,NAと名付けた。
Sytons社は今やEUを代表するSBR、BRメーカーになった。今やSSBRもNBRも生産している。昔はポーランド国営の小さなSBRメーカーであった。主力工場はポーランドのOświęcim市にある。これはドイツ語読みはアウシュヴィッツ(??)。加藤事務所加藤も10年前にこの街に行ったが、それは、アウシュヴィッツ収容所の見学であった。このSBR工場は、ドイツが第二次世界大戦で敗北が予想されるときに、連合軍によるドイツの合成ゴム工場空襲に備えて、当時占領していたポーランドに、その収容所の人を使って急遽作らせたSBR工場である。だからSBRBR工場のすぐ近くにあの収容所がある。(下の写真のとおり)
ドイツの主なSSBR工場が、そんな歴史の背景の中、ポーランドのSBRメーカーに買収されるとは、歴史が逆転したようにも感じる。 JSRが一時、合成ゴム部門を韓国の合成ゴムメーカーに売却交渉をしていた話とこの件はダブル気がする。今や合成ゴム会社は、超先進国では無理ということか?決して赤字の事業ではない。社会に必要な事業と考えるが、利益率では、医薬、半導体用特殊化学品の利益率に劣るということか?
ポーランドの話はこのRubberstation.jpの別のコラムで2021年5月24日に紹介する。