マーケット加藤’s EYE原材料(ゴム薬品)調達、購買資材

ロシア ウクライナ侵攻による、日本のゴムタイヤ産業の原材料への影響

2022年2月26日現在: ロシアによるウクライナへの侵攻が始まり、EUでは混乱が生じています。またロシアへの経済制裁も始まりました。 日本のゴムタイヤ業界へはどんな影響がでるでしょうか?

ウクライナから日本に直接輸入されるゴム原材料はほとんどないと思います。ロシアから日本、日系のゴムタイヤ工場へは、合成ゴムIR、ブチルゴムが輸入されています。主にタイヤ工場で使用されています。合成ゴムIRはロシアが世界最大の生産国です。グレードSKI3が有名です。ブチルゴムもハロゲン化ブチルではない通常のブチルゴムが日本に輸入されています。かつて加藤事務所も輸入したことがあります。ロシア南部で合成ゴムが製造され、ウクライナのオデッサ(黒海の港)までトラックで運ばれ、このウクライナの港からコンテナー船に積まれ、地中海マルタ島で積み替えて、日本に輸送されました。2月24日にこのオデッサ港が戦争で閉鎖されたとの情報があります。よってロシア製合成ゴムのアジア、日本への輸入ルートが止まる可能性があります。今後ロシアへの経済制裁があると、ドル通貨での支払いに制限がでる可能性があります。ロシア製のカーボンブラックは、欧州とインドでは使用されていますが、日本には輸入されていないと思います。ロシアのゴム薬品も日本では使われていないでしょう。

ウクライナ製、ロシア製のゴム原材料は欧州では使用されていますが、日本への影響はそれほど多くないと考えます。

それより今回のウクライナへの侵攻で、原油価格の上昇、欧州での天然ガス価格の高騰が日本のゴムタイヤ産業に影響がでます。すでに原油価格が上がり、ナフサ価格が4月積で$920/MTを超えました。今の為替レートで考えると、この価格は国産ナフサ価格換算で¥76400/KLとなり、2021年10-12月の国産ナフサ¥60700/KLくらべて¥15700/KL高、25%UP, EPDM換算で¥38/kgUPになります。もちろんこれはパニックに近い価格でずっとこの価格になるとは限りませんが、やはり2022年4-6月ナフサ価格が高くなることは間違いありません。ブタジエン価格も原油価格上昇で上がります。さらに韓国Yeochun NCCのエチレンセンター火災(2月10日)、マレーシアLotteUbeのブタジエン工場の火災(2月25日)と心配ごとが多い。 ただ今のアジアのブタジエン需給を考えるとナフサ価格ほど上がらない可能性もあります。

ヨーロッパでは、天然ガスの価格に応じて合成ゴムの価格が変わるLNGサーチャージ価格が導入されているので、ウクライナ-ロシア問題で、ロシア産天然ガスの供給が止まり、需給バランスが崩れ、天然ガス価格が高騰して、その結果ヨーロッパからの合成ゴム価格がさらに上がることは予想されます。これは相当インパクトがあると思われます。

ウクライナにはゴム練り、ゴム成形会社があります。Kauchuk 社(ロシア語でゴムの意味)です。  https://kauchuk-rubber.com/ 、ウクライナの東部、ドネツク州 マリウポリにあり、今戦争激化となっている地域、ロシアが独立国家とした地域です。いまこの工場はどうなっているのであろう?

今年の心配ごとが多い年になりそうです。