加藤’s EYE

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ゴム商社マンの世界オフショット紀行⑦~美食の街ボルドーで「孤独のグルメ」

今回の出張先はフランス・ボルドー。この商社マンはフランスへ向かうときは、決まって人気漫画(TV番組)の主人公になった気分になるのだとか。ボルドーではいったい誰に変身して、どんなものを訪ね歩いたのでしょうか、興味津々ですね。早速話を聞いてみましょう。


2019年7月某日

ずばり、フランスはおいしいものがたくさんある。ワインで有名なボルドーに取引先(ゴム薬品メーカー)があり、年1回は行くのだが、向かう車内では、気持ちが徐々にゴム商社のビジネスマンから「孤独のグルメ」井之頭五郎に変貌していってしまう。

仕事も早々に片付け、ボルドーの街を散策。もちろん散策の目的はグルメだ。

ボルドーは、ガロンヌ川に面した港町で、市街地は川の湾曲部にそって三日月形に形成され、「月の港」と呼ばれているそうだ。市中心部から北側にかけては、都市計画による大通りがある。市の南側は18世紀に建設されたが、狭くてまがった通りのある古い一画である。

2007年にボルドーの市街区域が世界遺産に登録された。18〜19世紀の都市計画によって生まれた調和のある街並みと、近年のガロンヌ河岸の歩行者空間と一体となった歴史的な再開発が評価された結果である

ガロンヌ川沿いをしばらく歩くと、あちこちにしゃれたレストランが点在する。その中でも自身のグルメ心の琴線に触れた店の門をくぐってみた。

オープンテーブルで牡蠣やムール貝をワインでいただく。本当においしい。

歴史的には、ボルドーは紀元前300年にケルト系ガリア人によって創設され、紀元前1世紀にはローマに占領されて主要な交易港となり、ワイン生産が盛んで商業地として栄えた都市だ。その後も土地の争いの歴史を繰り返し、イギリス支配があったことなどボルドーの長い歴史の中ではまだまだ新しい出来事にはいるのだろう。

そんな、様々な支配にもかかわらず、変わらず美味しいワインを作り続けたボルドー。美味しいワインはそのワインに応えられる美味しい食事を要求する。この街に様々な文化が融合した美味しい食事と食材が存在するのは必然なのかもしれない。

そうなると、「孤独のグルメ」の次なるミッションはそのワインの探訪となる。今回のボルドー滞在が週末を挟んでいたので、休日も待ち遠しくワインナリーツアーに参加した。

周知のように、ワイナリーツアーにはワインの試飲がつきもの。多くの美味しいワインを堪能するがあまり、味がどうのこうのと分析する前に結構酔っぱらってしまった。面目ない。

いや待て、それでは「孤独のグルメ」失格だ。日を改めてボルドー市内にあるワイン博物館を訪問する。

訪問したのはワインを文化財と捉えて、楽しく体験しながらワインの歴史や文化に触れられる文化施設、シテ・デュ・ヴァン。

館内には、ワインの女王と称されるボルドーワインだけでなく、世界中の800種類ものワインが揃うショップや、こだわりのワイングッズを取り扱うミュージアムショップが併設されている。

特にボルドーの歴史が生み出したワインたちが毅然と並ぶコーナーでは圧倒されてしまった。ワインを単なる嗜好品としてとらえてはいけない。ここではワインそのものが文化であり歴史なのだ。

美食を堪能したフランス出張の帰りには、嫉妬する家族を鎮めるために、いろいろ食材、調味料を買い込んで家に持って帰る。良いか悪いかは別として、そこだけは独身の井之頭五郎と違うところなのだ。