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EPDM市況 国内タイト!

世界中でEPDMが不足しています。そもそも昨年は新型コロナウイルスの影響で国内各社がEPDMの生産をしぼっていたところに、10月から中国、米国の自動車生産が急速に戻り、国内EPDMの在庫が減り始めました。そのため輸出成約を意識的に減らしてきました。

そこに2月米国の寒波でDOW,EXXONMOBIL.LIONELSTOMERの米国のすべてのEPDM工場が2週間停電で停止しました。

さらに日本では2月13日の福島沖地震で、三井化学千葉工場のEPDM工場が2週間停止しました。

三井化学のEPDM工場は2月下旬に再稼働をし始めましたがメタロセン触媒ラインは無事立ち上がりましたが、バナジウム触媒でのEPDM製造ライン(従来法のライン)は故障個所が見つかり、その再稼働が遅れています。3月下旬稼働予定といわれています。そもそも11月から在庫が減っていたところに、この状況ですから、バナジウム触媒重合でのEPDMグレードは本当に在庫がなくなりつつあります。グレードによっては本当にぎりぎりでしょう。3月下旬の再稼働が遅れると、本当に大変なことになります。さらに夏の定修までに在庫が貯められるか?

日本的に考えれば、自動車用途を最優先に。他社品に切り替えられるのならば、この期間はどうぞ他社のEPDMに切り替えてください。お願いします。日本の自動車生産を止めないようにご協力ください。ということでしょう。

ここが米国欧州のフォースマジュール宣言と違うところです。この辺については3月1日公開にゴム報知新聞NEXTの加藤のコラム「注文しても供給されないゴム原材料がある」https://gomuhouchi.com/serialization/33425/ をご覧ください。このコラムは、今の状況を予想して(最悪のケースとして考え)2月下旬に原稿を書きました。

 

三井化学よりのEPDM供給についてのレター(初めの部分のみ)、レター全体は仕入れ先、商社経由三井化学にお問い合わせください

以下のレターと写真は2011年2月19日にオランダDSM(現在はARLANXEO)のEPDM工場で突然の工場全体の停電で重合反応塔が停止し、その後電源が回復したが、反応塔の中でEPDMが固まってしまい、そのEPDMを反応塔から取り出すのに数週間時間がかかった時のフォースマジュールレターです。あれから丁度10年か。

今回の三井化学のケースでは、グレード切り替え中で、EPDMを重合している時ではなかったというが、溶剤の中にゴム成分、触媒がまだ残っていたのだろうか?この写真のような事態ではなかったと思われるが。とにかく一日も早く復旧できることを望みます。

2011年2月オランダDSM社EPDM工場 停電で重合が停止事故。当時の同社のサイトより